「ナマズ」はベトナム語で?
Cá trê(カー チェー)の発音・使い方

「「ナマズ」はベトナム語で?Cá trê(カー チェー)の発音・使い方」はベトナム語で

Cá trê

カー チェー —「カー」をすっと上げ、「チェー」は平らに伸ばすイメージで

辞書の「ナマズ」は cá trê(ヒレナマズの仲間)。日本のナマズに近いのは cá nheo 、フィレで売られる白身は cá tra や cá basa 。

「ナマズ」はベトナム語で?Cá trê(カー チェー)の発音・使い方

ベトナムの市場や食堂では、ナマズの仲間がとても身近な食材です。ただし「ナマズ」をひとことで言う語はなく、種類ごとに名前が分かれています。辞書を引くと cá trê が出てきますが、日本の川にいるナマズに近いのは cá nheo、スーパーで白身フィレとして売られているのは cá tra や cá basa。この記事では、それぞれが指す魚の違いと、店での頼み方をまとめます。

現地の人に伝わる発音のコツ

cá(魚)はサック声調(上げ)で、「カー」をすっと短く引き上げます。後ろの trê には声調記号がないのでンガン声調(平ら)。「カー↗・チェー」と、前を上げて後ろを平らに置くと形になります。

うれしいことに、この記事に出てくるナマズの名前は 後ろの語がほぼすべて平ら です。trê・nheo・tra・lăng・da trơn はどれも声調記号が付かないか、ă・ơ の母音記号だけ。cá を上げて、後ろは高さを変えずに言えば通じます。

北部(ハノイ)と南部(ホーチミン)の違い: 呼び名そのものは南北共通です。発音は違いがあり、Wiktionary の音声表記では trê が北部 [t͡ɕe]、南部 [ʈej] で、南部は「チェイ」に近く、舌を少し巻いた音になります。tra も北部は「チャー」、南部は舌を巻いた「チャー」。どちらの読みでも通じます。

ナマズの呼び分け早見表

「ナマズ」は1語では言えないので、どの魚を指したいか で使い分けます。

ベトナム語 読み 指す魚(辞書・百科の記述) 音声
cá trê カー チェー ヒレナマズ科。空気呼吸ができるナマズ
cá nheo カー ニェオ ナマズ科。日本のナマズもこの仲間
cá tra カー チャー パンガシウス科。メコンの養殖魚
cá basa カー バサ パンガシウス科。cá tra の近縁種
cá lăng カー ラン ギギ科などのナマズ。北部の川に多く chả cá に使う
cá da trơn カー ザー チョン ナマズ目全体の総称(学術・報道向け)

それぞれの根拠は次のとおりです。

  • cá trê: Wiktionary の英語 catfish の訳語に載るのはこの語。定義は "airbreathing catfish"(空気呼吸するナマズ)で、vi.wikipedia の「Họ Cá trê(ヒレナマズ科)」もエラの上の器官で空気から酸素を取り込めると説明しています
  • cá nheo: Wiktionary の定義はナマズ科(Siluridae)の魚。vi.wikipedia では日本のナマズ(Silurus asotus)を Cá nheo sông Amur(アムール川の cá nheo)と呼んでいます。日本のナマズを思い浮かべて言うなら cá nheo が近い わけです
  • cá tra: Wiktionary によると、南部ではパンガシウス(Pangasianodon hypophthalmus)を指し、パンガシウス科全体の総称にもなる語です
  • cá basa: vi.wikipedia では cá ba sa と2語で書かれ、cá tra と同じパンガシウス科の別種(Pangasius bocourti)。メコンデルタのいけす養殖が中心です
  • cá da trơn: 直訳は「肌がつるつるの魚」。vi.wikipedia でナマズ目(Bộ Cá da trơn)を指す語で、うろこがないのが特徴と書かれています

場面別の使い方(旅行シーン)

市場で: 生きたナマズをたらいで売っている店では、まず Đây là cá gì?(デイ ラー カー ジー)=「これは何の魚?」と聞くのが確実。売り手が cá trê と答えたらヒレナマズ、cá tra ならパンガシウスです。1匹買うなら Cho tôi một con cá trê.(チョー トイ モッ コン カー チェー)。

食堂で: メニューに cá trê があるかは Có cá trê không?(コー カー チェー ホン) で確認できます。小骨が気になるなら Cá này có nhiều xương không?(カー ナイ コー ニュウ スオン ホン)=「この魚は骨が多いですか」。

スーパー・社員食堂で: 冷凍の白身フィレや学食の魚料理は cá tra / cá basa のことが多いです。パックに書かれた名前を見れば、どちらかが分かります。

ミニ会話例

あなたĐây là cá gì?(デイ ラー カー ジー)— これは何の魚ですか?
店員Cá trê đó em.(カー チェー ドー エム)— cá trê だよ。
あなたCho tôi một con cá trê.(チョー トイ モッ コン カー チェー)— cá trê を1匹ください。

ベトナム文化メモ

ナマズ料理でよく知られるのが cá trê nướng riềng mẻ(カー チェー ヌオン ジエン メー)。riềng(ナンキョウ)と mẻ(米を発酵させた酸味の調味料)に漬け込んで焼く料理で、ベトナムのレシピサイトでも cá trê 料理の定番として紹介されています。ライスペーパーで生野菜と巻き、甘酸っぱいヌックマムで食べるのが一般的です。

ハノイ名物の chả cá(チャー カー) もナマズ系の魚料理。vi.wikipedia の「Chả cá Lã Vọng」によると、使う魚はふつう新鮮な cá lăng で、ディル(thì là)・ネギ・ブン(米麺)・ピーナッツ、そして mắm tôm(エビの発酵調味料)を添えて食べます。旧市街には料理名がそのまま通り名になった Chả Cá 通りがあります。

南部のメコンデルタは cá tra・cá basa の一大養殖地で、輸出用のフィレの多くがここで生産されています。旅行中にスーパーで見かける冷凍白身魚も、たどればこの地域の川魚です。

よくある質問

Q. 結局、「ナマズ」と言いたいときはどれを使えばいい? A. 辞書どおりなら cá trê ですが、指す魚はヒレナマズの仲間に限られます。種類を問わず「ナマズ目の魚」と言いたいなら cá da trơn 。ただし日常会話では魚の種類名で呼ぶのがふつうなので、市場では実物を指して Đây là cá gì? と聞くのがいちばん早いです。

Q. cá basa と cá tra は同じ魚? A. 別種です。どちらもパンガシウス科で見た目も似ていますが、vi.wikipedia では cá ba sa は他の cá tra 類と見分けやすいとされ、腹が大きく丸い体形が特徴です。

Q. cá trê の「trê」だけで通じる? A. Wiktionary によると、trê だけで書く短い形は主に書き言葉・文学的な文章で使われます。会話では cá を付けて cá trê と言うのが自然です。

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本記事のベトナム語表記・声調・IPAは Wiktionary と Vietnamese phonology (Wikipedia) を主要出典として編集部が照合しました。運営者情報

発音音声は合成音声(Microsoft Edge TTS・ボイス vi-VN-HoaiMyNeural)で作成しています。