「これは何の肉ですか」はベトナム語で?
Đây là thịt gì?(デイラーティッジー)の発音・使い方
「「これは何の肉ですか」はベトナム語で?Đây là thịt gì?(デイラーティッジー)の発音・使い方」はベトナム語で
Đây là thịt gì?
デイ ラー ティッ ジー —「デイ→ ラー↓ ティッ↓ ジー↓」。thịt は短く落として止め、gì はゆるく下げる
鍋やショーケースを指さしながら使う基本形。料理名ごと聞くなら Món này là món gì?(モン ナイ ラー モン ジー)。
「これは何の肉ですか」はベトナム語で?Đây là thịt gì?(デイラーティッジー)の発音・使い方
ベトナムの食堂や屋台では、鍋やバットに盛られた具を指さして注文することがよくあります。見た目だけでは牛か豚か鶏かわからないことも多く、そんなときに一言聞ければ選択の幅が広がります。この記事では Đây là thịt gì? の通じる発音と、返ってくる肉の名前を聞き分けるための語彙をまとめて扱います。
現地の人に伝わる発音のコツ
構造は Đây(これ)+ là(は/〜である)+ thịt(肉)+ gì(何) です。ベトナム語の疑問詞は英語のように文頭へ動かさず、聞きたい場所にそのまま置くのが特徴。だから「これは肉、何?」という語順のまま疑問文になります。thịt の部分を差し替えれば「Đây là cá gì?(何の魚?)」のように応用できます。
声調は Đây だけが平ら、あとは全部下げる形です。**Đây はンガン声調(平ら)**で [ʔɗəj˧˧]。**là と gì はフエン声調(下げ)**でゆるく低く。thịt はナン声調(短く落とす) なので、伸ばさず「ティッ」で止めます。全体としては「デイ→ ラー↓ ティッ↓ ジー↓」と、最初だけ平らでそこから低く沈んでいくイメージです。
子音は2か所が要注意。Đây の đ は日本語の「ダ」より喉の奥で息をためてから出す音で、d(北部では「ザ」)とは別の文字です。thịt の th は英語の th ではなく、息を強く吐く「トゥ」。語末の t は口を閉じたまま開放しないので、「ティット」と2拍にせず「ティッ」で切り上げます。Wiktionary の発音表記もハノイ [tʰit̚˧˨ʔ]、サイゴン [tʰɨt̚˨˩˨] と、末尾の t に開放を示す記号がありません。
北部(ハノイ)と南部(ホーチミン)の違い: 語彙は南北共通ですが、gì の読み方がはっきり分かれます。ハノイは [zi˨˩] で「ジー」、サイゴンは [jɪj˨˩] で「イー」。つまり同じ文が北部では「デイ ラー ティッ ジー」、南部では「デイ ラー ティッ イー」と聞こえます。これは gi- という綴りが北部で /z/、南部で /j/ になるためで、gà(鶏)以外の gi- 語すべてに効く規則です。thịt も北部の [i] に対して南部は [ɨ] と中舌寄りになるので、南部では「トゥッ」に近く響きます。どちらで言っても全国で通じるので、旅行者は言いやすいほうを選んで構いません。
肉の名前 早見表
thịt + 動物名 が「〇〇の肉」の基本形です。返ってきた答えを聞き取れるよう、よく出るものから覚えておくと安心です。
| 日本語 | ベトナム語 | 読み | 音声 |
|---|---|---|---|
| 牛肉 | thịt bò | ティッ ボー | |
| 豚肉(北部の言い方) | thịt lợn | ティッ ロン | |
| 豚肉(南部の言い方) | thịt heo | ティッ ヘオ | |
| 鶏肉 | thịt gà | ティッ ガー | |
| アヒル・鴨肉 | thịt vịt | ティッ ヴィッ | |
| 水牛肉 | thịt trâu | ティッ チャウ | |
| ヤギ肉 | thịt dê | ティッ ゼー | |
| カエル肉 | thịt ếch | ティッ エック | |
| 犬肉 | thịt chó | ティッ チョー |
読み方にも南北差が出ます。gà は Wiktionary の発音表記が [ɣaː˨˩] で、濁った「ガ」と「ハ」の中間のような音。dê はハノイ [ze˧˧]「ゼー」に対しサイゴン [jej˧˧]「イエー」。vịt はサイゴンで [jɨt̚˨˩˨] とも読まれ「イッ」に近づきます。trâu はハノイ [t͡ɕəw˧˧] で「チャウ」、サイゴン [ʈəw˧˧] は舌を反らせた「チャウ」です。いちばん差が大きいのは ếch で、ハノイ [ʔəjk̟̚˧˦] は「エイッ(ク)」ですが、サイゴン [ʔəːt̚˦˥] は語末が t になり「アッ」に近く響きます。
場面別の使い方(旅行シーン)
屋台・食堂のショーケースで: 具の入ったバットを指さしながら「Đây là thịt gì?」。店員さんは「Thịt heo.」 のように一語で返してくれることが多いので、上の表の音を頭に入れておくだけで会話が成立します。指さしとセットなら、発音が多少崩れても意図は確実に伝わります。
メニューが読めないとき: 肉に限らず料理そのものを聞きたいなら「Món này là món gì?」(モン ナイ ラー モン ジー=この料理は何ですか)。món は「料理・一品」を指す語で、これを覚えておくとメニューの前で立ち往生しません。もっと短く済ませたいときは「Cái này là gì?」(カイ ナイ ラー ジー=これは何ですか) でも通じます。
入っているかどうかだけ確認したいとき: 「Món này có thịt không?」(モン ナイ コー ティッ ホン=この料理に肉は入っていますか)。có 〜 không? の型なので、thịt を cá(魚)や nước mắm(ヌクマム)に入れ替えればそのまま応用できます。避けたい肉がはっきりしているなら「Tôi không ăn thịt bò.」(トイ ホン アン ティッ ボー=牛肉は食べません) のように具体名で伝えるのが確実です。
ミニ会話例
ベトナム文化メモ
thịt という語のカバー範囲は、日本語の「肉」とずれています。Wiktionary の語釈は「人や動物の肉、ただし魚と甲殻類はおおむね含まない」。つまり Tôi không ăn thịt(肉は食べません)と言うと、店員さんは善意で魚のスープを出してくることがあるわけです。魚も避けたいなら cá(魚)、エビが心配なら tôm(エビ)を明示的に足す必要があります。逆に言えば、Đây là thịt gì? という質問は最初から「獣肉・鳥肉の種類」を尋ねる形になっているので、返答に cá が出てくることはまずありません。
豚肉の呼び名が南北で割れるのも、この語彙群の特徴です。北部は thịt lợn、南部は thịt heo。heo は中部・南部で使われる語で、Wiktionary にも北部相当語は lợn と明記されています。同じ「豚肉」でもメニューの表記が土地によって変わるので、ハノイからホーチミンへ移動したときに「知らない肉が出てきた」と勘違いしないよう、2つセットで覚えておくと安心です。豆腐の đậu phụ(北)/đậu hủ(南)と同じタイプの南北差だと考えるとまとめて頭に入ります。
犬肉(thịt chó)については、旅行者が一般の食堂で出会う場面はほぼないと考えて構いません。ベトナムの人口の大多数は食べておらず、消費は減少傾向にあります。2021年の調査では回答者の約9割が禁止を望むという結果が出ており、より新しい調査でも食用の禁止に64%、取引の禁止に68%が賛成しています。扱う店は専門店に集中しているため、看板に thịt chó とあるかどうかで判別できます。ややこしいのは thịt cầy という語で、字義どおりにはジャコウネコ類の肉ですが、Wiktionary では犬肉の婉曲表現として記載されています。看板でこの表記を見かけたら、同じ系統の店だと考えてください。
よくある質問
Q. 「牛肉ですか?」と確認だけしたいときは? A. 語尾に à をつけて「Đây là thịt bò à?」(デイ ラー ティッ ボー アー) とすれば「これって牛肉ですか?」という確認の調子になります。はいなら Đúng rồi(ドゥン ローイ=そうです)、違えば別の肉の名前が返ってきます。
Q. 特定の肉だけ抜いてほしいときは? A. Đừng cho + 食材名 の形が最短です。例: Đừng cho thịt(ドゥン チョー ティッ=肉を入れないで)。トッピングを外すだけで済む料理なら、屋台でもそのまま通じます。宗教上の理由で牛や豚を避けたい場合は、Tôi không ăn thịt bò のように「食べません」と言い切るほうが誤解が生まれません。
Q. 肉の部位まで聞きたいときは? A. 旅行者が部位名まで覚える必要はほぼありませんが、指さしながら「Đây là thịt gì?」 を繰り返すだけでも、店員さんは身振りで説明してくれます。内臓が苦手なら、まとめて避ける言い方として Tôi không ăn nội tạng(トイ ホン アン ノイ タン=内臓は食べません)が使えます。